世界の山旅を手がけて49年 アルパインツアー

多様な山岳景観と静かな山歩きが魅力
　「シュラードミング&タウエルン」や「ダハシュタイン」という地名を聞いたことがある方はいらっしゃるでしょうか？ これらはオーストリアに位置する山群の名前です。あまり聞き慣れない場所ですが、実は緑美しい森やきらめく湖、迫力ある山岳展望、お花畑、広大なカルスト台地と、変化に富んだ美しい風景がぎゅっと詰まったとても魅力的な場所です。それにもかかわらず、歩いている人は本当に少なく、静かな山歩きが楽しめます。
　2つの山脈は、のどかな山岳リゾートであるシュラードミングの町を挟んで、向かい合うように連なっています。近くの山でありながら、2つの山域で見られる風景は全く異なるから驚きです。

月面世界のようなダハシュタイン
　ダハシュタインは、ダハ＝尾根、シュタイン＝岩という名の通り、ごつごつとした石灰岩が印象的なカルスト地形が果てしなく続きます。太陽に照らされた石灰岩質の岩山は、白く輝きまぶしいほどです。まるで月面に降り立ったかのような風景は、荒々しくも迫力があり、日本では見ることが出来ないカルストの規模に圧倒されることでしょう。荒涼とした大地の中にも、時おり可愛らしい高山植物が見られ、私たちの目を楽しませてくれます。

緑豊かなシュラードミング&タウエルン山塊
　一方シュラードミング&タウエルンは、緑と高山植物に彩られた優しい雰囲気が印象的です。いくつかのピークを越えながら縦走し、絶えずアップダウンを繰り返す起伏のあるルートは歩きごたえも十分です。平野部を挟んで対岸には、数日前まで縦走していたダハシュタイン山塊を見渡すとことができ、「この山一帯を縦走している」という充足感を得ることができます。宿泊する3つの山小屋は、いずれもオーナーのおもてなしが温かく、快適です。
　オーストリアと言えば、音楽の都ウィーンやザルツブルク、緑豊かなチロル地方が有名です。しかし、シュラードミングとダハシュタイン&タウエルン山塊も、自然溢れる素晴らしい場所です。まさに、ここにないのは「知名度」のみ。是非とも、多くの山好きの方に歩いていただきたいエリアです。

私のおすすめ！
小林 博史（こばやし ひろふみ）