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2022/05/11 お知らせ
【2021年新規開通】 富士山ロングトレイルをもっと知ろう!
富士山ロングトレイルをもっと知ろう!

富士山は古来より多くの人々に崇められ、登られてきた山です。修験や信仰を始め、浮世絵や文学といった芸術作品の創作などを目的に、沢山の人々が富士山に訪れていました。その美しさや神々しさは、現在も変わらずに国内外の人々を魅了し続けています。 富士山ロングトレイルは、古来の人々が見ていた景色を辿り、富士山に見守られながら歩くトレイルです。道中では、信仰や歴史を感じ、四季を彩る植物を愛で、麓に暮らす人々との交流を楽しむことができます。
今回は富士山ロングトレイルが整備された経緯やその魅力について、トレイルの構想段階からプロジェクトに関わっており、現在もその運営をしているマウントフジトレイルクラブ代表理事の太田安彦さんに伺いました。

▲マウントフジトレイルクラブ 代表理事 太田安彦
◎富士山ロングトレイルを作った経緯
富士山ロングトレイルは、富士山の魅力をもっと多くの人に知ってもらいたいという願いで、富士山ガイドを中心に企画しました。私たちは富士山周辺の貴重な自然や深い歴史、富士山の魅力を楽しめる場所が、まだまだ多くの人に知れ渡っていないと感じています。国内外から富士山に訪れる方々に、ここでしか経験出来ない感動や時間を体験してもらいたいと思っています。
また富士山ロングトレイルには、富士山とその周辺地域における観光の課題を解決する目的もあります。富士山はどうしても夏季・登山シーズンの富士登山道に観光客が集中してしまう傾向があり、長い間地域観光と環境保全を進めるうえで大きな課題となってきました。そこで富士山ロングトレイルには富士登山道以外の、一年を通して国内外の多くの方々に楽しんでいただける新たなコンテンツとして、オーバーツーリズムの分散や長期滞在のきっかけになること、それによって地域全体のサスティナブルツーリズム(持続可能な観光開発)が推進できることを期待しています。

◎富士山周辺エリアの歴史や文化
富士山周辺は、古来より多くの人々が訪れていたため、歴史を垣間見られる場所がいくつもあります。例えば、富士山の北側にある御坂・三ツ峠エリアの黒岳を通る「御坂峠」は、とくに歴史深い場所です。この辺りでは、古墳時代の土器が出土していて、すでにこの時代には人々がいたことを証明しています。平安時代から鎌倉時代は、都と甲斐国を行き来するための官道として重要な役割を担っていました。戦国時代には御坂城が築かれて、北条氏が利用していていたとされています。時代によって、様々な役割を担っており、多くの人々が利用していました。富士山ロングトレイルは、こういった歴史を垣間見ながら歩けるトレイルコースになっています。

▲太宰治が3か月間滞在した、御坂峠の天下茶屋
著作『富嶽百景』にはその時の記録が記されている
◎6月5日出発
『富士山ロングトレイルEAST~忍野・山中湖エリア~ 4日間』
富士山の東に位置する山中湖周辺をメインに富士山の景色を眺められる富士山ロングトレイルのルートを歩きます。杓子山(1,597m)山頂からは、富士山ロングトレイルの全貌と目前に迫る富士山の景色がお楽しみいただけます。山中湖は富士五湖の中で最も富士山に近い湖ということもあり、山中湖周辺の山々からは湖越しに裾野が大きく広がる大迫力の富士山を感じることができます。
また、山中湖の南に位置する三国山稜には、甲斐(山梨)と相模(神奈川)、駿河(静岡)の境にあたる三国山があります。自然環境保全地域にも指定された三国山から続く稜線はブナやミズナラをはじめとする自然林がきわだって美しく、この時期はフィトンチッドあふれる新緑の森歩きが楽しめます。
▲鉄砲木ノ頭から望む山中湖と富士山