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2016/10/04 お知らせ

〜 現地からの便り〜 わたしのおすすめ ! ルートバーン・トラック

 キオラ!(マオリ語でこんにちはの意味)。この夏、ツアーリーダーとしてスイスアルプスに同行させていただきました土屋貞夫です。私は信州大学在学中、森林の勉強をしていた経験から研究で訪れたニュージーランド(NZ)の自然に魅せられ、その後NZへ渡り、ルートバーン・トラックのガイドの仕事に従事し、今年で10年目になります。今シーズンはNZのツアーリーダーも担当いたします。
 私がガイドしているルートバーン・トラックは、その昔、マオリ族が神秘の石グリーンストーン(翡翠)を運んだ峠越えの登山道に由来します。タルク滑石と呼ばれる未熟なグリーンストーンがルートバーン渓谷の登山道脇に点在しているほどです。クイーンズタウンとミルフォード・トラックの中間に位置していることから、明治中期から昭和初期にかけてミルフォード・トラックへのアクセス路として本格的に整備されました。現在ではNZで最も人気の高い自然保護省厳選のグレート・ウォークスのひとつです。
 日本でも有名なミルフォード・トラックの見所が苔むしたブナの原生林や氷河を頂く峻峰と切り立った岩壁だとしたら、ルートバーン・トラックの特徴は2泊3日の行程ながら、雄大な谷を埋めつくすブナ原生林、ダーラン山脈の大パノラマ、迫力ある滝、氷河圏谷に佇む澄んだ山上湖、エメラルドグリーンの渓谷など、変化に富んだ山岳景観がぎっしりと凝縮されておりトレッカーを飽きさせないことです。ここ数年は自然保護省による外来種駆除の努力の結果、ルートバーン渓谷でしか見られない野鳥の生息数も回復しています。内陸部に位置しているので年間降水量3,000〜5,000mmと少なめで、厄介者のサンドフライ(ブヨ)が少ないのも魅力です。
 NZ南島の夏は11月下旬からのマウントクック・リリーの開花で幕を開け、稜線や峻峰に残る雪渓が山岳景観をとても引き立てます。年末年始の休暇が明けてからは天気が安定する日も多くなり、コニカルヒル頂上からフィヨルドランド国立公園最高峰のツトコ山(2,723m)やタスマン海を遠望できる日が増えてきます。この時期は春から夏の花へ移り変わる季節で、バラエティに富んだ種類のお花を見ることができます。岩の割れ目にはエーデルワイスが咲き出し、マッケンジー小屋の前ではレザリーリーブド・ヒービーの群落が真っ白い絨毯のように一斉に開花、森林限界よりも上では手のひらほどの大きさにもなるラージ・マウンテン・デイジーが咲き乱れるのも1月中旬です。また、春先に生まれた小鳥の雛が巣立ち、森の中は急に賑やかになります。NZ固有の絶滅危惧種のモフア、カカ、ロックレン、ハヤブサなどを見かけることもあります。盛夏に当たる2月上旬から3月中旬は最も天候が安定し、3月中旬に純白のリンドウやリボンウッドが咲き終わるとNZは秋を迎えます。
 今年はエルニーニョ現象も終わり、天候の安定した暖かい夏になることが予報されています。テ・ワヒポウナムの世界自然遺産にも指定されている手付かずの大自然と山岳景観が魅力のルートバーン・トラックへ、
ぜひお越しください。

文:土屋 貞夫(NZ 在住ツアーリーダー)


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