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2016/10/04 お知らせ

〜 現地からの便り・その2〜 タスマニア島のシーズン到来!

 南半球に位置するタスマニア島は、日本とは季節が逆で、1月から3月が夏から初秋にあたります。とは言いましても、人気のクレイドルマウンテン周辺などでは夏でも暖炉を焚くことがあり、「1日の内に四季がある」とよく言われています。クレイドルマウンテン(1,545m)は、タスマニア島を代表する象徴的な山で、この岩山の独特なカタチは、率直にカッコ良いの一言に尽きます。周辺の植生と相まって、ここにしかない美しい自然景観が形成されており、皆さまには印象に残った風景や体験として是非とも日本へお持ち帰り頂きたい場所の一つです。野生のウォンバットやワラビ―、ハリモグラなどの動物を間近で見られるチャンスも多く、クレイドルマウンテン周辺でのハイキングを含めた滞在は、とっておきの体験となるはずです。
 クレイドルマウンテン周辺の植生は大きく次の3つに分けることができます。日向を好むユーカリの森、日陰に残る冷温帯雨林、そして黄金色のボタングラスが広がる草原です。この島で何年かに一度は起こる大規模な自然現象は山火事ですが、湿り気のある南斜面を中心に分布する冷温帯雨林は、いわば何百年も焼失することなく生き延びてきた貴重な古い森です。一方でユーカリは、子孫を残すために自身が燃え易くなるようユーカリオイルを分泌し、山火事が起こるのをじっと待ちます。焼け跡に先ず出現するのは草原ですが、数十年後には生長が早いユーカリの新しい森ができます。恐ろしい自然災害が実は大切な役割を果たしており、この撹乱と再生のサイクルが生態系に多様性が生まれる一因となっているのです。
 固有種が多いタスマニア島には、怪我をした動物や親をなくした動物を保護して将来的に野生に返す活動をしている施設がいくつかあります。トロワナ・ワイルドライフ・パークでは、伝染性の顔面腫瘍が原因で個体数が激減したタスマニアデビルを、飼育下で繁殖させる取り組みも行っています。その一環で今年、トロワナから2頭のタスマニアデビルが多摩動物公園(東京都)に引き渡され、6月から一般公開もされています。8月には、たったの20年間でタスマニアデビルが病気への抵抗力を急速に進化させた可能性があることを示唆する研究論文が発表され、世界を駆け巡るニュースとなりました。かつて絶滅を免れられないとも考えられたタスマニアデビルの生き残りに期待が高まっています。
 最近は寒さの峠が過ぎたのか、日中は暖かい日が増えてきました。国立公園ではワラビーの赤ちゃんがお母さんのポケットから顔を出し、街中ではミモザやマグノリア、ラッパスイセンなどが咲き、少しずつですが春の訪れを感じています。いよいよ11月からシーズンが始まります。スタッフ一同、皆さまのご来島をお待ちしております。


文:石川 博規(Hiroki ISHIKAWA)
学生時代は農学部で農芸化学を学ぶ。登山一家の中で育ち、幼少時代から自然と山と親しむ。本格的に登山を開始したのは、大学時代に所属したワンダーフォーゲル部から。タスマニア島の動植物や環境に魅了されて1998年にタスマニア島のホバートへ移住、現在に至る。


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