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2016/11/02 お知らせ

〜 現地からの便り・その3〜 人気のオーバーランド・トラックへ!

 タスマニア島の西部には、悠久の時を超えて育まれてきた原生雨林や、氷河に削られた原野に点在する険しい岩山など、太古の森や大地の姿が保存された広大な大自然があります。世界遺産にも登録されているこのエリアを、実は快適なロッジに泊まりながら、5泊6日かけて北から南へ大縦走できるロングトレイルがあるのです。連載第3回(最終回)の今号は、某米国専門誌で世界中のトレッカーの憧れのトレイルのひとつに数えられたこともある、オーバーランド・トラックを少しだけご紹介いたします。
 オーバーランド・トラックでは貸切ロッジに泊まります。いずれもメイントレイルからは全く見えない秘密の場所にあり、シンプルで機能的な造りが魅力の隠れ家です。客室は個室(2人部屋)が5つ、最大10名のゲストを迎えられる設計です。また、シャワールームと乾燥室もあり、食事は同行する2名の現地ガイドの手料理がふるまわれます。そのため一日の疲れと一日の始まりをサポートする態勢は万全といえます。さらに寝袋が持参不要であるのもうれしいことですね。もちろんテントも食料も不要です。そのため25kg前後ではなく8kg前後のザックで全長約65kmを爽快な気持ちで縦走することができるのです。
 縦走は木道が敷かれた湿原からスタートします。苔で鬱蒼とした原生林を抜けると赤い水をたたえた湖にでます。湖の周辺では、島の固有種としては唯一の落葉樹で、太古の大陸移動の裏付けともなったファガス(南極ブナ)を見ることができます。さらに1時間ほど登れば展望が広範囲に開けた有名なマリオンズ・ルックアウトです。そしてタスマニア島を象徴する山・クレイドルマウンテン(1,545m)が、そのカッコいい姿を現します。いよいよ縦走が始まるなと、あらためて気持ちが高ぶることでしょう。ここからは窪地にできた池が点在する見晴らしの良い起伏の少ない高原台地を南下します。やがて正面に堂々と聳えていた奇峰バーンブラフ(1,559m)を背にして歩くようになり、タスマニア島の原風景ともいえるボタングラスの平原とユーカリのコントラストが美しい場所に達します。ここまででまだ登山口から15kmほど歩ききったあたりです。
 さて、オーバーランド・トラックを縦走する約65kmのなかで、どれだけの特別な体験が待っているのか。皆さまの足で是非、確かめてみてください。メイントレイルから外れて往復するタスマニア島の最高峰Mt.オッサ(1,617m)の登頂は、きっと印象的な体験となることでしょう。また、全てを歩ききったときの達成感と感動も大きいはずです。下山口にある湖畔の桟橋で迎えの小さなフェリーを待つ時間は、まさに至福の時といえます。もしかしたら、めったにその姿を見せない野生のカモノハシが、湖面に上がってきてくれるかも知れません。


文:石川 博規(Hiroki ISHIKAWA)
学生時代は農学部で農芸化学を学ぶ。登山一家の中で育ち、幼少時代から自然と山と親しむ。本格的に登山を開始したのは、大学時代に所属したワンダーフォーゲル部から。タスマニア島の動植物や環境に魅了されて1998年にタスマニア島のホバートへ移住、現在に至る。


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