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山上の散歩道
アフリカ大陸の南端の国、南アフリカのさらに南部のケープタウンの町は、世界有数の美しい港とテーブルマウンテンでよく知られている。町から南に下れば、ケープ半島の先には喜望峰がある。11月下旬に機会を得てヨハネスブルグからサンシティーを回り、ワインズランドからケープタウンを訪れた。南アフリカはちょうど夏になりかかる頃で、日中は日差しがつよく、乾燥した好天気がつづいた。テーブルマウンテンは、その名のとおり、ケープタウンの町を見下ろすような平坦な頂稜に特徴がある。ふもとからは回転しながら昇降するロープウェイで一気に山上駅まで運ばれる。ゴンドラ自体が回転するので、文字どおり360度の景観を楽しむことができる。山上は世界各国からの観光客でにぎわっている。ミニスカでサンダル履き、下着のようなものを着ている女性も見かけたが、まあどこの観光地も似たり寄ったりというところか。時間がなかったので、残念だったがカーステンボッシュ植物園までの縦走コースはあきらめ、散歩程度でお茶をにごすことにする。それでもけっこう山の雰囲気を味わうことができた理由の一つは、ちょうど地元山岳レスキュー隊がヘリコプターでの救助訓練をしていたからでもある。ホバリングしているヘリからホイスト下降し、要救助者を吊り上げる作業を繰り返していた。途中、急にヘリがあわただしく飛び去って行ったが、翌日聞いたところによると、実際に事故が発生して訓練が本番になったということであった。たしかに、この山は切り立っているので、一般登山道からはずれた部分はけっこうルートファインディングが難しいと思う。
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ゴンドラで下っているときに、さきほど登ってくるときに見かけた単独の女性クライマーをまた見つけることができたが、ほとんど高度を稼いでいるようには見えなかった。レスキューされなきゃいいけど、と思いながら「がんばれよ」と心の中でつぶやいたのである。ケープ半島先端のケープポイントと喜望峰にも観光客が多い。バスの駐車場とケープポイントの間は遊歩道が整備されているが、途中から喜望峰へのトレイルに入ると観光客は少なくなる。ここでは海を見下ろしながらの爽快なハイキングが楽しめる。南アフリカは観光資源が豊富で、山好きな者にとっても充分楽しめる場所がたくさんある。また、アザラシの島を船から眺めたり、ペンギンのコロニーを訪れたり、人間社会から眺めた、ありのままの動物たちを身近に感じることができる場所でもある。そういう点では、動物たちの行動展示で大成功している旭川の旭山動物園の楽しさに共通しているようにも思えるし、その原点のようにも感じた。

▲山上でのヘリコプター・レスキュー訓練
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沖縄県最高峰「於茂登岳」
南アフリカからもどった週末は雪の中ノ湯で、週明けは木枯らしの福島、もどってからは吹雪の札幌、週末はみぞれの越後湯沢とたてつづけに出張がつづいた。数日おいて、半年前から決まっている沖縄出張である。那覇の国立劇場の小劇場で「山へ行こうよ」の題目で新しくできたハイキングクラブの設立記念講演を引き受けてしまったのだ。そんなわけで主催者にわがままを言って、せっかくだから石垣島に行き、於茂登岳に登ることにした。羽田からの直行便は3時間半かけて石垣空港に着陸する。すぐにレンタカーで登山口に向かう。山名は、「於茂登」と書いて「おもと」と読ませるが、登山口は、大本小学校の先から林道に入る。ダート道を右に分ける所に駐車して歩き出す。雨の降る平日の真っ昼間だから他の登山者などいないだろうと思っていたが、途中で下山してくる中年男性数人とすれちがう。「南の島の登山人気もなかなかのものだ」と心の中でつぶやきながら、整備された登山道をひたすら登ると歩き出してから1時間20分で左手に電波塔を見送り、パラボラアンテナのある頂上に到着した。周囲はヤブと樹木なので、晴れていても景色は期待できないだろう。とはいっても、沖縄県最高峰登頂である。たった526メートルとはいえ、立派な山頂であった。下山はゆっくり歩いて1時間、雨でぐっしょり濡れたシャツを着替えて海辺のリゾートホテルに車を走らせた。しかし、そこのホテルで出迎えてくれたのは、なんともさわがしい修学旅行の高校生たちだった。「君たち、土産物ばかりあさってないで、自然ゆたかな沖縄を満喫しなさいよ。山に行こうよ。」と言いたい気分であったが、それを言うなら生徒でなく、教育委員会かな。
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