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ボルネオ島の北東部に聳えるキナバル山は、巨大な花崗岩と氷河によって形成された特異な形のいくつものピークが特徴的で、2000年にマレーシア最初の世界自然遺産に登録された。また「世界で最も素晴らしい植物の宝庫の一つ」ともいわれる山麓の鬱蒼とした森には、植物学者など多数訪れる。
登山者を魅了するキナバル山
 マッシュルームピーク、ドンキーイヤーズなどユニークなたくさんのピークからなるキナバル山。最高峰ロウズピーク(4095m)は、頂上台地の最奥に位置し、4000m峰ではあるが、岩登りの技術や特別な装備を必要とせずに登れるため、国内外を問わず、年間を通して多くの登山者が訪れる。登山目標は一般的に3300m付近にある山小屋で宿泊し、翌日登頂後に山麓まで下山する1泊2日の短い行程である。

憧れの4,000mの頂きへ
 公園事務所(パークヘッドクォーター)で入山手続きを行い、先住民のガイドやポーターとともに、標高約1800m付近のティンポホンゲートより登山開始。植物保護や表土流出を防止するため、良く整備された尾根上のトレイルをひたすら登っていくが、適度な間隔で休憩場所(東屋)が設けられている。
 標高2000m前後でも美しい原生林に包まれる山道では、見上げるようなシダの木や、木々に着生する様々なラン、しゃくなげの仲間などが、目を楽しませてくれる。
 やがてメシラウコースからのトレイルとの合流点を過ぎると、ピッチャープラントと呼ばれる食虫植物ウツボカズラが見られる低灌木帯となり、その後、天候がよければ、進行方向にキナバル山の特徴的なパナールラバンの大岩壁が視界に入るようになる。山小屋は、この大岩壁が屏風のように広がる所に建っている。


▲登るにつれて植生が次々と変わる
 

 山小屋の各部屋には2段ベッドが複数あり、寝袋は必要なし。レストランが併設されているラバンラタ小屋では、温かい飲み物を注文できるので、水分をたっぷり補給しながら、腹式呼吸を意識しておくと高山病予防にもなる。
 天候のよい早朝に登頂するため、未明に山小屋を出発する。ヘッドランプの明かりを頼りに、岩壁へと続くトレイルを登ると、やがて傾斜はゆるくなり、避難小屋となるサヤサヤ小屋に到着する。入山者カードのチェックを行い、いよいよ一枚岩の頂上台地へとりつく。目印として付けられた山頂まで続くロープに沿って登っていく。吹きさらしの岩盤上だが、麓に広がるコタキナバルの夜景と、頭上に広がる南十字星や美しい天の川の星空が疲れを癒してくれる。
 日の出が近づいた頃に登りつく頂上台地(サミットプラトー)付近では、傾斜も緩やかになり、最高峰ロウズピークが迫ってくる。最後は岩が積み重なったトレイルを山頂へ。山頂からは、文字通り360度の絶景

 

が広がり、4000m峰登頂という達成感がこみあげてくる。山頂部の展望を楽しみながら下山すれば、午後には山麓の熱帯の気候の中に舞い戻り、世界遺産に登録されたキナバル山の植物の垂直分布と、その気候変化を自身で感じることができる。利用者の少ないメシラウルートから下山すれば、より手付かずの自然の姿を間近に感じることができる。

野生動物の宝庫ボルネオ島

 世界遺産に登録されたキナバル・パークをはじめ、美しい珊瑚礁の海とビーチが魅力のトゥンク・アブドゥル・ラーマン海洋公園や、原生の熱帯雨林が見られるダヌムバレー保護区域、またテングザルやボルネオゾウなど野生動物の観察スポットとなっているキナバタンガン川流域でのネイチャークルーズなど、ボルネオ島北部にはさまざまな見所があるため、日程に余裕があれば、キナバル登山の前後に訪れるとボルネオ島の違った魅力を知る機会になる。


▲マレーシア初の世界遺産Mt.キナバル



壮大なスケールで迫るペリト・モレノ氷河、天を突き刺すフィッツロイ山群、エメラルド色に輝く氷河湖、そしてパンパの大平原。その貴重な氷河群と、山と森が織りなす美しい景観を保護するために、1981年ユネスコの世界自然遺産に登録された。

12の大氷河を擁する
氷河国立公園

 1981年に世界遺産に指定されたロス・グラシアレス(氷河)国立公園は、南部パタゴニアに位置する、アルゼンチンの中でも屈指の壮大なスケールを有する国立公園である。面積は東京都の3倍近くもあり、北は名峰フィッツロイからアルゼンチン湖の南端まで南北170kmに及ぶ。パタゴニアとは、アルゼンチンとチリ両国南部に広がる地域の通称である。

青く輝くペリト・モレノ氷河
 青白い巨大な氷壁が、砲声のような轟音とともに、崩れ落ちる。アンデスの氷河源流からの数万年の旅の終着点で、氷河に閉じ込められた太古の空気が解放される瞬間だ。夏のペリト・モレノ氷河には、この光景を目にするために世界中から多くの人々が集まっている。
 ペリト・モレノ氷河の末端部は、高さ60メートル、幅は4キロに及ぶ。ビルの高さでいえば20階建てのビルに相当する高さだ。この氷河の周りでは、ナンキョクブナを始めとす

る緑が青々と茂っている。これほど温暖な地域で極地的光景を目にすることができるのは、アラスカ/北西カナダ国境地域とパタゴニアだけであるだろう。これは、西からの偏西風により運ばれてくる大西洋の湿った空気がアンデス山脈に当たり膨大な量の降雪をもたらすためだ。それにより、源流部にパタゴニア大陸氷床という世界第3位の大陸氷を形成し、下流へと多くの氷河を押し流している。また、対照的にアンデス東側のパタゴニアは広大な乾燥地帯を形成している。
 アンデスとパンパの乾燥平原、この2つがパタゴニアを象徴する2つの要素である。

天に突き刺すフィッツロイ山群
 パンパの大平原から突き出る独特な雰囲気の針峰群、フィッツロイ。世界中のトレッカーやクライマーの憧れの対象として有名な山群である。山頂部では気流が激しく渦巻くことから、山が雲を吐いているかのように見える。先住民は、この山を畏敬とともにチャルテン(雲を吐く山)と呼んだ

 


▲トレッカーの憧れフィッツロイ山群


この山へのアプローチは基本的には徒歩となる。基点の村より日帰りハイキングが可能であるし、山麓でキャンプをすることもできる。山麓で眺める朝日に輝くフィッツロイは、大変美しい。その美しい山容には誰しもが感動するだろう。また、同じく日帰りのハイキングで、もう一つの名峰セロ・トーレを目指すこともできる。山麓の氷河湖の近くにキャンプをすることも可能だ。


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