山旅情報誌 Newsletter


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ニューズレター4月号 世界の山旅、辺境の旅


Newsletterより抜粋


 だれもいない静かなオフィスで過ごす休日出勤がこのところつづいている。抜けるような青空の日に山へも行かず仕事だなんて…、こんなはずではなかったのに。とはいえ何かと忙しいことは、このご時世では(っていったいどんなご時世?)、かえって幸せということだろう。  静かなはずの休日も今日は騒がしい。1階のテナントのコンビニがもっとたくさんのお客を呼び込みたいから目立つ看板をわが社の窓のそばに出したいとのことで、さっきから工事をしている。電気ドリルが唸って、とてもじゃないが考えごとなんかできやしない。文句言ってやろうとおもったが、先日ビール券もらって、よろしくお願いします。なんて言われているから我慢しよう。
 外堀通りを虎ノ門方面からシュプレヒコールとともに反戦デモがやってきた。最近この日比谷あたりでは大小の反戦デモによく出会う。しかし、今日のデモは規模が大きい。もう30分以上とぎれないでつづいている。反戦を叫ぶ人々のエネルギーが春めいた空気をゆさぶっているようだ。
 12年前の1月17日、湾岸戦争が始まった。その日からの報道は戦争記事で埋め尽くされた。スポーツ紙も女性誌も戦争を書かずばメディアにあらずの様相であったことを、ぼくはいまでもはっきり覚えている。そして、「このご時世に海外旅行か」と、後ろ指さされそうなそんな気配が背後から忍びよってくる嫌な雰囲気を忘れはしない。世の中に戦争気分が蔓延して、多くの人々が過剰反応を示していた。
 そして日本時間3月20日午前には、イラク戦争とでも呼ぶべきか、米英がイラク攻撃を開始した。もとはといえば、国連決義に真摯な対応をしてこなかったイラクが正しいなどという者はいないはずのこの紛争が、こちらも国連軽視の米国らの対イラク開戦につながっていったことが不条理に思えてしかたない。この憤りをどこにぶつければいいのだ、とデモの中で叫んでいる人々の気持ちはよくわかる。しかし、その声はブッシュにもフセインにも届かないし、大新聞の社説だってブッシュとフセインが読んでいるとは、残念ながらおもえない。

我々は、平和産業の旗手として、世界平和を脅かす、
すべての行為と行動に断固反対する。

(ツーリズムサミット緊急アピール2002.10.24から)

 旅行の自由は、日本国憲法や世界人権宣言で認められているはずだ。わが国の観光基本法は、「観光は、国際平和と国民生活の安定を象徴するものであって、その発達は、恒久の平和と国際社会の相互理解の推進を念願し、健康で文化的な生活を享受しようとするわれらの理想とするところである。また、観光は、国際親善の増進のみならず、国際収支の改善、国民生活の緊張の緩和等国際経済の発展と国民生活の安定向上に寄与するものである。」と謳っている。
 連日のイラク進攻報道が激しさを増すなかで、企業が海外出張を自粛し始めたことも報道されている。このご時世、果たして営業活動の停滞は、むしろしっぺ返しくらうのでは、と余計な心配をしてしまうのはぼくだけだろうか。「日本人だけが売り込みにやってこない」と、海外の商売相手は思っているかもしれない。修学旅行やスポーツ遠征、交流試合、メジャーリーグの日本開幕戦も、みーんな中止だってさ。イチローの活躍見たかったのに。
 こんなときだからこそ、戦争気分やテロに負けない気概が必要なのに、なんて主張するのは旅行業者の身勝手なのだろうか。もしかしたら「戦時中にちゃらちゃら海外旅行か」なんて非国民呼ばわりされてしまうかもしれないけれど、ぼくは、一人の国民として、わが国が誇る立派な観光基本法の精神を守り通したいと心から思っている。
 国際社会における相互理解の増進こそ、人々の心のふれあいから生まれてくるものではないのだろうか。しかし、ブッシュやフセインは、きっとわが国の観光基本法を守るつもりなんてないのだろう。踏みにじるやつは厳罰だ。
(平成15年3月21日記)
(本稿は、旅行関係産業団体等が発出した緊急アピールを参考としています。)
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