Newsletterより抜粋

会社の帰りに虎ノ門駅の売店で買ういつもの夕刊紙の派手な見出しが、戦争報道からヤンキース松井の活躍に変わってきてほっとしたのもつかのま、2月にホンコンやベトナムで患者が出たことが報告されてから、最近ではこの「謎の肺炎」が新聞テレビをにぎわしている。
NHKの「クローズアップ現代」は子供に見せたい番組の一つだとぼくは思っている。新聞に出ていた人気投票のトップは、「プロジェクトX」だったと記憶しているが、ちなみに見せたくない番組のトップはクレヨンしんちゃんらしい。どうして人気がないのかぼくにはわからない。こち亀ほどではないが人情味のある意外と奥の深い番組だと思うけど。
クローズアップ現代でこの病気を特集するというので、早めに家に帰って見ることにした。ちょうどこの日は、わが社の企画で中国・四川省のスークーニャン山へトレッキングに出かけるグループの説明会が会社の会議室で開催される日だった。ご来場者の何人かは、「本当はクローズアップ現代、見たかったけど、説明会に来たのよ」とおっしゃる方もおられ、担当者はのっけからこの病気の情報提供をすることになった。
マスク姿のホンコンの人々や隔離病棟が画面に登場し、謎の肺炎の正体が少しずつ暴かれてゆく番組構成はさすがクローズアップ現代だ。おもわず引き込まれてしまう。しかし、自分がこの病気にかかる恐怖感がなかなかわいてこないのはなぜだろう。いまのところ日本での深刻な発症報告がないことも理由の一つだろうが、飛沫感染や接触感染が大きな要因と言われていることも理由のように思える。WHO伝染性疾病部門のハイマン博士も「本日までに集められた証拠に、空気感染の可能性の憶測を裏付けるものがないことに、実に勇気づけられる」と言っている。
特効薬は未開発だが対症療法で回復した例も実にたくさん報告されている。伝播患者の発生報道に一喜一憂はもうやめたいというのが正直なところだ。エイズもそうだった。大きな誤解が患者を悲しませることにもなったことをぼくらはよく覚えている。
旅行業界がこの病気について真剣に考えることになったのは、WHOの報告を受けて日本外務省が渡航情報を発出したことによる。旅行業界は、不況・イラク・新型肺炎(SARS)の三重苦で不況特定業種に指定されてしまった。そこで社団法人日本旅行業協会と日本旅行医学会では、サーズについてもっとよく知ってもらうため、連名で下記のような情報を発出している。わが社も、現地情報をしっかりと収集し、安全運行につとめたいと考えている。どうか、これから当該地への旅行の計画をお持ちの方は下記をご一読いただき、今年の夏もぜひ世界の山旅をお楽しみいただきたいと、切に願うばかりである。
「プロジェクトX」がサーズ撲滅への道、などという番組を仕上げてくれることを心から願っている。
(平成15年4月20日記)
SARS(重症急性呼吸器症候群)について
(社)日本旅行業協会
日本旅行医学会
WHO(世界保健機関)は、世界の一部の地域で肺炎に似た症状が多く発生していると報告しています。その情報に基づき外務省では中国広東省と香港に「渡航の是非をご検討下さい」また、中国山西省、北京市・ハノイ・シンガポール・マカオ・台湾・トロントに「十分注意をしてください」との情報を発出しています。
これは、SARS(重症急性呼吸器症候群)と呼ばれている、非典型肺炎(潜伏期間は1〜11日間)のことで、各国は、その拡大を防止・管理する為に、世界規模で密接な連絡体制を取り合っています。また、実際に、WHOが発表している症例は、感染した人と濃厚な接触(SARS患者の看護・介護や同居、患者の気道分泌物、体内に触れるなど、いわゆる、飛沫感染及び接触感染の可能性がかなり高いと言われています。)がない限り感染する可能性が低いと報告されております。さらに現在まで日本においても発症した例はありません。
しかしながら、確実な治療法はいまだに確定されておりませんので、お客様個人による予防対策が最大の防御策とされております。WHOも、この感染症に関しては十分な予防対策をとっていれば感染性は低いと報告しており、ご旅行中は以下の点に十分注意していただきますようお願い申し上げます。
1. 手をよく洗う。(石鹸で、流水で)
※飛沫感染及び接触感染の予防策としては一番重要です。
(特に、食事前など、目・鼻・口を触る前は必ず)
2. うがいをする。
3. 人ごみは避ける。
※飛沫感染は、正面・1メートル以内が感染範囲と言われています。
※混雑したエレベーター内、公共交通機関内などは、特に要注意です。
4. 人ごみを避けられない場合は、極力マスクをする。
5. 日常の十分な健康管理に気をつける。
※バランスのとれた食事、十分な休息、生ものの摂取を避けるなど、体調維持が一番です。
6. 特に、免疫力の低下している人(例えば病後、術後など)に発症例が多いようですので、充分ご注意下さい。
現在のところは、上記予防策が一番有効と言われていますので、ご旅行中は、徹底していただくようにお願い致します。また、万一ご帰国後、風邪の諸症状(悪寒、発熱※38度以上、から咳など)を感じた場合は病院で診療していただくようお願い致します。
(その場合、必ず、病院に事前の電話連絡を入れ、医師に当該国へ渡航された旨をお伝え下さい。) (平成15年4月19日現在)
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