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【カナダ特集】カナダの国立公園の理念

【カナダ特集】カナダの国立公園の理念

すべては自然保護のために

カナディアンロッキーの自然公園に作られたハイキングトレイルを歩いてみると、どのコースも良く整備されていることに驚かれるはずです。本来、人間にとって厳しいものであるはずの大自然において誰でも安全に楽しむことができるのは、国立公園という自然保護とレクリエーションのバランスを取るシステムが確立していることが大きな理由の一つです。

カナダ初の自然公園であるバンフ国立公園は、カナダ連邦が誕生した1867年のわずか20年後に発足しました。これはアメリカのイエローストーン国立公園、オーストラリアのロイヤル国立公園に続く、世界で3番目に設立された国立公園となります。1867年と言えば日本では大政奉還が起こり、明治維新の真っ只中であったと考えると、いかに昔から自然保護を行ってきたことかと驚きます。

カナディアンロッキーの国立公園と、近接する幾つかの自然公園を統合してCanadian Rocky Mountain Parks(カナディアンロッキー山脈自然公園群)として、ユネスコ(UNESCO)の定める世界自然遺産に登録されています。その総面積は約26,500平方kmにも及び、北海道の約3分の1の広さが丸ごと自然公園として保護されているのです。

自然を守る気持ちを育む

カナダの国立公園を管理運営する国立公園局「パークスカナダ」の初代長官であるジェームズ・ハーキンは、「自然美の保護」と「野生動物の保護」という、現在の国立公園の基礎となる二つの理念を打ち立てました。今からでは想像もできませんが、彼の生きた今から100年以上も昔は、自然は人間が介入して征服し、克服するものであるという考えが一般的でした。そのため、「自然はそのままの姿であることが一番美しい。」という思想自体、国立公園が作られなければ今ほど一般的にはなっていなかったとも言われています。また、彼は当時悪い動物として無佐為に殺害されていたオオカミやクマの狩猟を禁止しました。野生動物が本来の生態系を維持していることは、自然公園を管理する上でとても重要な指標となっているのです。

ジョン・ハーキンによる国立公園の理念は、アメリカにあるヨセミテ国立公園の設立のきっかけとなり、国立公園の父と言われるジョン・ミューアの思想に強く影響を受けたと言われています。それは、「自然を守る心を育てるには、その自然がどれほどすばらしく、大切なものかということを知ることからはじめなければならない。」というものです。国立公園が自然保護だけでなく、レクリエーションにおいても力を注ぐ理由がここにあります。カナディアンロッキーでのハイキングでは、足元に咲く可憐な花々や、植物、森の中に残る動物の気配など、様々な小さな発見が待っています。そして、誰しもが本来の姿で残る自然美に感動することでしょう。これらの体験を通して自然を愛する気持ちが生まれ、大切にしようと思う気持ちが育まれていく。これこそが国立公園の目指す理念そのものなのです。