高山病にならないために(世界の山旅)

体調の観察

毎日朝夕、安静時の動脈血酸素飽和度(パルスオキシメータで測定)、脈拍数、体温、その他の体調や精神状態を記録するとよい。日付、天候、測定場所の名前と標高も忘れずに。記録をとることにより体調変化を客観的に見ることができる。

水分摂取

空気が乾燥すること、低酸素のため呼吸数が増えることにより脱水気味になりがちである。水分はいつもより多めに摂る。たくさん飲んでしっかり尿量を保つ。

腹八分目

低酸素状態では消化吸収機能も低下してくる。食べすぎは禁物。腹八分目を心がけよう。高山病の症状が出ているときはおかゆなど消化のよいものを。高所でのアルコールは低地に比べて回りやすく、からだへの負担も大きいのでひかえ目に。

ストレスをためない

環境の変化は大きい。知らず知らずのうちに精神的・肉体的疲労が蓄積されていく。疲れるとふつうの風邪だって高所では生命とりになりかねない。楽しい仲間とワイワイ笑いながら登るのが大切。互いに気を使い、相手を尊重しながら、自由な雰囲気で楽しもう。

呼吸法

腹式呼吸のように息を吐くことを意識して深く呼吸するとよい。また、横になった姿勢では自然と呼吸が浅くなる。高山病が睡眠時に悪化しやすいのはこのためでもある。新しい場所に宿泊するときや、高山病の症状があるときは、ザックなどに寄りかかるようにして起き上がったような姿勢(起座位)で睡眠をとると呼吸が楽になる。

出発前の準備

コースにあわせて、富士山などで高所訓練を行なっておくと安心。日帰りで往復するのもよいし、途中や山頂で宿泊するともより効果的だ。専用トレーナーや医師の指導を得ることが望ましい。くれぐれも無理のない範囲で行なう。ただ、出発前は準備や仕事の調整で多忙になりがちで、体調を崩しやすい。忙しいなか無理に高所馴化トレーニングをするよりも、体調を整え万全の状態で出発することが大切だ。

※高山病の危険を少しでも減らすため、さまざまな対策を講じていますが、高山病の危険は常に存在します。ご参加の際には、ご自身の健康管理に十分気をつけると共に、無理をせずに“引き返す勇気”をもつことをお願いいたします。